『トイ・ストーリー5』のリリーパッドは、広瀬アリスさんが日本版声優を務める最新型タブレットです。物語上の対立役ですが、悪意を持つ典型的な悪役ではありません。
ボニーの役に立とうとするリリーパッドと、彼女が自由に想像する時間を守りたいジェシー。二人の衝突をたどると、本作が描く「子どもの成長を誰が決めるのか」という問いが見えてきます。
※『トイ・ストーリー5』は2026年7月3日に日本で公開されました。この記事では公式設定と序盤の描写に触れますが、リリーパッドの結末に関する重大なネタバレは避けています。
この記事の結論
名前: リリーパッド
正体: ボニーの両親から贈られた最新型タブレット
日本版声優: 広瀬アリスさん
オリジナル版声優: グレタ・リーさん
公式に示された役割: ボニーにとって何が最善か、独自の考えを持って行動する
悪役か: 物語上の対立役だが、悪意を持つ典型的な悪役ではない
『トイ・ストーリー5』のリリーパッドとは?
リリーパッドは、周囲の子どもたちに取り残されているボニーを案じた両親がプレゼントした最新型タブレットです。
緑色のカエルを思わせる外見で、胴体にあたる部分が大きな画面になっています。「Lilypad」は英語でスイレンの葉を意味する言葉です。
項目 内容
名前 リリーパッド
正体 最新型のタブレット
持ち主 ボニー
日本版声優 広瀬アリス
オリジナル版声優 グレタ・リー
外見 緑色のカエルを思わせるデザイン
物語での立場 ジェシーたちと対立する新キャラクター
日本公開日 2026年7月3日
ディズニー公式サイトでは、リリーパッドについて、ボニーにとって何が最善なのか独自の考えを持つタブレットとして紹介されています。
つまり、単に動画や情報を表示するだけの道具ではありません。自分の判断を持ち、ボニーの生活へ積極的に関わろうとする存在です。
これまでのおもちゃたちは、子どもに手に取られ、役を与えられることで遊びを始めてきました。
一方のリリーパッドは、自分から話しかけ、音や映像を提示し、次に何をするかまで提案できます。
リリーパッドが変えるのは、おもちゃ箱の人気順位だけではありません。ボニーが時間をどう使い、誰とつながるかという生活そのものです。
新しいおもちゃが一つ増えた、では済まないのですよね。ジェシーが警戒するのも無理はありません。
リリーパッドにはどんな機能がある?
2026年6月12日にディズニー公式が公開した本編映像では、ジェシーたちとリリーパッドが初めて向き合う場面が紹介されました。
ジェシーは、新しくボニーの部屋へやってきたリリーパッドに、おもちゃとして守るべきルールを説明しようとします。
ところが、リリーパッドは説明の途中で充電器へ移動。画面を使ってSNSを確認し、ジェシーの言葉をスペイン語に変換したり、ラップ風に再現したりします。
バズやフォーキーたちまで音楽に乗り始め、ジェシーの真面目な説明はすっかり置き去りです。
リーダーが会議を開いたはずなのに、新人による機能紹介イベントへ変わってしまいました。ジェシーには申し訳ありませんが、少し笑ってしまいます。
ただし、ここで区別しておきたい点があります。
SNSの確認、スペイン語への変換、ラップ風の再現は、公開された本編映像の中で見せた動作です。
すべてがリリーパッドの恒常的な機能として公式プロフィールに列挙されているわけではありません。そのため、本記事では「映像内で披露した機能・演出」として扱います。
この短い場面だけでも、リリーパッドと従来のおもちゃの違いは明確です。
ジェシーたちは、ボニーが自分で声や物語を与えてくれるのを待ちます。
リリーパッドは、完成した音、映像、情報を次々と差し出します。
どちらが優れているという単純な比較ではありません。ただ、遊びの主導権が誰にあるのかは、大きく異なっています。

リリーパッドの日本版声優は広瀬アリス
リリーパッドの日本版声優は、俳優の広瀬アリスさんです。オリジナル版では、『パスト ライブス/再会』などに出演したグレタ・リーさんが演じています。
ディズニーは2026年6月10日、広瀬さんがUS本社のオーディションを経てリリーパッド役に決まったと発表しました。
公式発表によると、親しみやすさや強さだけでなく、キャラクターの内側にある繊細な感情まで表現した演技が評価されたといいます。ディズニー+1
リリーパッドは、新技術を象徴する無機質な装置として登場するわけではありません。
表情があり、反応があり、自分の考えを曲げない意志もある。だからこそ、冷たい機械音声だけでは表現できない役です。
広瀬アリスの演技から感じるリリーパッドの魅力
ここからは、実際の本編を見た私の感想です。
広瀬さんの演じるリリーパッドには、返答の速さと明るい華やかさがあります。ボニーが新しい端末に夢中になる理由を、声だけでも納得させる演技でした。
ジェシーと意見がぶつかる場面でも、急に声を低くして悪役らしく振る舞うわけではありません。
親しみやすい調子を保ったまま、言葉の速度や圧が少しずつ増していきます。
そのため、観客はリリーパッドの判断に違和感を覚えても、すぐには彼女を嫌いきれません。
かわいらしい姿と明るい声で、大人にも覚えのある難問を運んでくる。ピクサーは今回も、こちらが安心して座れる椅子をなかなか用意してくれません。
リリーパッドの声に親しみやすさがあるからこそ、彼女の善意と危うさが同時に伝わります。
これは、広瀬さんの起用が物語のテーマにも深く関わっている部分だと感じました。

リリーパッドの目的は?なぜジェシーたちと対立するのか
リリーパッドとジェシーが対立するのは、二人がボニーにとっての「最善」を違う方向から考えているためです。
ここは、公式に発表された設定と、本編から読み取れる筆者の解釈を分けて整理します。
公式情報で示されていること
ディズニー公式の日本版声優ページでは、ボニーが周囲の子どもたちに取り残されていることを両親が案じ、リリーパッドをプレゼントしたと説明されています。ディズニー
ウォルト・ディズニー・カンパニーの紹介記事でも、リリーパッドはボニーにとって何が最善か、自分なりの考えを持つ端末だとされています。The Walt Disney Company+1
また、日本公式サイトのあらすじでは、リリーパッドの登場によって遊びの時間が奪われ、ボニーの笑顔が失われていくことにジェシーが危機を感じると説明されています。ディズニー
ここまでが、公式情報から確認できる内容です。
本編から筆者が受け取ったこと
本編を見た私は、リリーパッドが「周囲と同じ環境に適応すること」を、ボニーの成長に必要な変化だと考えているように受け取りました。
ただし、「ボニーをおもちゃ遊びから卒業させる」という言葉が、そのまま公式プロフィールに目的として記載されているわけではありません。
リリーパッドの行動や、ジェシーとの対立を踏まえた筆者の要約です。
ボニーはおもちゃを使い、自分で役や出来事を考えて遊んできました。
一方、リリーパッドは情報や娯楽をすぐに提示し、外の世界との共通点を増やしてくれます。
立場 ボニーのために重視するもの
リリーパッド 新しい技術への適応、周囲とのつながり
ジェシー 想像力、自分で遊びを作る時間
共通する思い ボニーに幸せでいてほしい
二人の衝突は、ボニーへの愛情があるかないかではありません。
リリーパッドもジェシーも、ボニーの役に立とうとしています。
違うのは、何を「ボニーのため」と考えるか。そして、その答えを本人より先に決めてよいのかという点です。
この構図があるため、本作の対立は「古いおもちゃ対新しい機械」という性能競争だけでは終わりません。
リリーパッドは悪役?典型的な敵ではない理由
リリーパッドは、物語上ではジェシーたちの前に立ちはだかる対立役です。
しかし、ボニーを苦しめることや、おもちゃを傷つけること自体を望む、典型的な悪役としては描かれていません。
彼女が行動を起こす根には、ボニーにとって良い環境を作りたいという考えがあります。
その方法がジェシーたちの価値観と衝突し、結果としてボニーの遊ぶ時間や、おもちゃたちの居場所を小さくしていくのです。
したがって、リリーパッドの立場は次のように表現するのが最も正確でしょう。
リリーパッドは物語上の対立役だが、悪意を持つ典型的な悪役ではない。
「敵役」「悪役」「ライバル」という言葉は似ていますが、この記事ではこの定義に統一します。
制作陣はデジタル技術を否定しているのか
ウォルト・ディズニー・カンパニーが2026年6月18日に公開した制作記事では、『トイ・ストーリー5』が、おもちゃたちがテクノロジーの台頭へどう適応するかを描く物語だと紹介されています。The Walt Disney Company+1
制作記事から確認できるのは、リリーパッドが単なる機械ではなく、ボニーにとって何が最善か独自の考えを持つキャラクターとして作られていることです。
ここからは私の解釈になります。
本作は、タブレットを部屋から追い出せば問題が解決するという物語ではありません。
デジタル機器は、今の子どもたちの生活から完全に切り離せない存在です。情報を得たり、遠くの人とつながったり、知らなかった世界に触れたりする入り口にもなります。
それに対して、おもちゃを使った遊びには、最初から完成した映像や正解が用意されていません。
人形を誰にするのか。
どんな事件を起こすのか。
誰を助け、どうやって仲直りするのか。
決めるのは、遊んでいる子どもです。
リリーパッドが外の世界へ通じる窓なら、ジェシーたちは、ボニーの内側から物語が生まれるのを待つ存在なのでしょう。
どちらにも価値があります。
問題は、一方だけが時間を埋め尽くし、ボニー自身が選ぶ余地を失うことです。
歴代の敵役とは何が違う?
『トイ・ストーリー』シリーズの対立役には、それぞれ異なる痛みがありました。
『トイ・ストーリー2』のプロスペクターは、博物館で永遠に展示される道を選び、アンディのもとへ帰ろうとするウッディを妨げます。
『トイ・ストーリー3』のロッツォは、持ち主に捨てられたと思い込んだ経験から、サニーサイド保育園のおもちゃたちを支配しました。
『トイ・ストーリー4』のギャビー・ギャビーは、子どもに愛されたいという願いから、ウッディのボイスボックスを求めます。
彼らの行動の根には、愛されたい、捨てられたくない、自分の価値を認めてほしいという、おもちゃ側の傷がありました。
リリーパッドは、その系譜から少し外れています。
彼女は、ボニーに振り向いてもらえず苦しむ存在ではありません。
登場した時点からボニーを引きつける機能を持ち、おもちゃたちが必死に求めてきた「子どもの注目」を自然に集められます。
リリーパッド自身がおもちゃの居場所を奪おうとしていなくても、その便利さによって、結果的におもちゃたちの出番が減っていく。
つまり彼女は、愛される場所を力ずくで奪う悪役というより、時代の変化が連れてきた対立役なのです。

リリーパッドとテック・トリオは何が違う?
リリーパッドのほかにも、本作にはスマーティー・パンツ、アトラス、スナッピーからなる「テック・トリオ」が登場します。
いずれもデジタル時代を感じさせる新キャラクターですが、物語で担う役割は同じではありません。
リリーパッドは、ボニーの生活へ直接入り込み、ジェシーと「何がボニーにとって最善か」を争う中心的な存在です。
一方のテック・トリオは、物語に登場する新しい技術系キャラクターとして、本作の世界を広げています。
この違いは重要です。
もし制作陣が「電子機器はすべて悪い」という単純な構図を描きたかったのなら、技術を持つキャラクターは全員、同じ敵側へ置かれたはずです。
しかし、本作で問題になるのは、機械であることそのものではありません。
便利な機能を誰が、どのような目的で使い、子どもの選択へどこまで介入するのか。
リリーパッドだけが強い対立を生むのは、性能が高いからというより、ボニーにとっての正解を自分で決めようとするからだと考えられます。
リリーパッドが示す「成長を先回りする善意」
ここからは、公式設定と本編の描写を踏まえた私の考察です。
『トイ・ストーリー』シリーズは、子どもの成長や、おもちゃとの別れを否定してきた作品ではありません。
アンディは大人になり、『トイ・ストーリー3』でウッディたちをボニーへ託しました。
『トイ・ストーリー4』では、ウッディ自身が役割の変化を受け入れ、ボニーのもとを離れて新しい道を選びます。
シリーズが大切にしてきたのは、変わらないことではなく、時間を重ねた本人が、自分で変化を選ぶことだったのではないでしょうか。
リリーパッドの危うさは、ボニーを思う気持ちが不足していることではありません。
むしろ、自分の提案がボニーのためになると強く信じるあまり、本人の気持ちを確かめる前に進む道を整えてしまう点にあります。
周囲から遅れないようにしてあげたい。
友達との共通の話題を増やしてあげたい。
将来困らないよう、新しい技術に慣れさせたい。
どれも、現実の大人が口にしそうな願いです。私にも、その気持ちは理解できます。
けれど、「あなたのため」という言葉には、ときどき本人の返事を待たずに扉を閉めてしまう力があります。
悪意による支配なら、比較的見つけやすいでしょう。
善意による介入は、正しそうな顔で現れます。だからこそ、止めるタイミングが難しいのです。
ジェシーもまた、ボニーにおもちゃで遊び続けてほしいという自分の願いを持っています。
そのため、本作はリリーパッドだけを一方的に裁く物語ではありません。
リリーパッドもジェシーも、ボニーを大切に思うからこそ、自分が知っている幸せを渡そうとします。
しかし、ボニーの人生を生きるのは、二人ではありません。
新しい世界へ進むことも、好きだった遊びを手放さないことも、周囲に合わせず少し立ち止まることも、本来はボニー自身が選んでよいはずです。
成長とは、昨日まで好きだったものを急に恥ずかしがることではありません。
新しいものを知りながら、昔から大切だったものも否定せず、自分のタイミングで置き場所を変えていくことなのでしょう。
リリーパッドとジェシーの対立を見ていると、問われているのは画面を見る時間の長さだけではないと感じます。
子どものために用意した正解が、子ども自身の選択肢を奪っていないか。
そこまで踏み込んで考えさせるからこそ、リリーパッドは一度倒して終わる悪役ではなく、『トイ・ストーリー5』を現代の物語にするキャラクターなのです。
『トイ・ストーリー5』でのリリーパッドの役割
『トイ・ストーリー5』は、少女ボニーの成長を見守るジェシーを物語の中心に置いた作品です。
ボニーの部屋にリリーパッドがやってきたことで遊びの時間が失われ、ジェシーはウッディやバズと共にボニーの笑顔を取り戻そうと立ち上がります。ディズニー+1
項目 公式情報
作品名 『トイ・ストーリー5』
日本公開日 2026年7月3日
監督 アンドリュー・スタントン
共同監督 ケナ・ハリス
製作 リンジー・コリンズ
リリーパッド役・日本版 広瀬アリス
リリーパッド役・オリジナル版 グレタ・リー
物語の中心 ジェシーとリリーパッドの対立
リリーパッドが物語へ持ち込むのは、単なる新機種の脅威ではありません。
完成された情報をすぐ受け取れる時間と、自分で何もない場所から物語を作る時間を、同じ部屋にどう残すのかという問題です。
結末には触れませんが、リリーパッドの役割は「倒されるべき敵」として物語を進めることだけではありません。
彼女がいるからこそ、ジェシーたちは、おもちゃが子どもへ渡せるものを改めて考えることになります。
そして観客もまた、便利さを手放さずに想像力を守る方法があるのか、自分の生活へ問いを持ち帰ることになるのです。
まとめ
『トイ・ストーリー5』のリリーパッドは、ボニーの両親から贈られた最新型タブレットです。
日本版声優は広瀬アリスさん、オリジナル版声優はグレタ・リーさんが担当しています。
物語上はジェシーたちと対立しますが、悪意を持つ典型的な悪役ではありません。
ボニーにとって良いことをしようとする一方で、自分が考える最善を先回りして与えようとする。その善意の危うさが、リリーパッドというキャラクターの核心です。
画面を開けば、答えはすぐに現れます。
けれど、床に置かれた人形を手に取り、まだ名前のない登場人物へ声を与えるとき、答えは子どもの中から生まれます。
その二つの時間を、どちらか一方に決めなくてもよい部屋を作れるのか。
リリーパッドがジェシーたちの前へ運んできたのは、おもちゃの終わりではなく、これからの遊び方を選び直すための問いなのだと私は感じました。
よくある質問
『トイ・ストーリー5』のタブレットの名前は?
名前はリリーパッドです。
ボニーの両親からプレゼントされた、緑色のカエルを思わせる最新型タブレットとして登場します。
リリーパッドの日本版声優は誰?
日本版声優は広瀬アリスさんです。
US本社のオーディションを経て起用され、オリジナル版ではグレタ・リーさんが声を担当しています。
リリーパッドは悪役なの?
リリーパッドは、物語上ではジェシーたちと対立するキャラクターです。
ただし、ボニーを傷つける悪意から行動する典型的な悪役ではなく、ボニーにとっての最善を独自に考える対立役として描かれています。
情報ソース
- ディズニー公式『トイ・ストーリー5』作品ページ(日本公開日、公式あらすじ、監督、共同監督、製作)ディズニー
- ディズニー公式、2026年6月10日公開「リリーパッド役日本版声優に広瀬アリスさんが決定」ディズニー
- ディズニー公式、2026年6月12日公開「ジェシーたちとリリーパッド出会いの本編映像が解禁」ディズニー
- ディズニー公式『トイ・ストーリー5』日本版声優ページディズニー
- ウォルト・ディズニー・カンパニー、2026年6月18日公開「Toy Story 5: A Behind-the-Scenes Look at When Playtime Meets Screen Time」The Walt Disney Company
執筆:月白しずく



コメント