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『鬼の花嫁』花梨はどんな人物?柚子との関係や行動を解説

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『鬼の花嫁』の花梨は、柚子の妹であり、妖狐・狐月瑶太の花嫁です。姉を見下して数々の妨害を重ねますが、その人生は「愛され方を間違えた子ども」が自分の罪と向き合うまでの物語でもあります。

両親と瑶太に溺愛され、願いは何でもかなう環境で育った花梨。なぜ柚子を傷つけ続けたのか、どんな行動によって花嫁の地位を失ったのか、そして最終的にどうなったのかを原作小説・漫画版・アニメ版の情報をもとに整理します。

※この記事は『鬼の花嫁』原作小説、コミカライズ版の重要な展開を含みます。花梨の末路やその後まで知りたくない方はご注意ください。

『鬼の花嫁』花梨はどんな人物?

花梨は、主人公・東雲柚子の妹です。

物語開始時点では高校2年生。小学生の頃、あやかしの中でも強い力と高い地位を持つ妖狐・狐月瑶太の花嫁に選ばれました。

TVアニメ公式サイトでは、東雲花梨について「柚子の妹で、瑶太の花嫁」「両親と瑶太から溺愛されており、柚子のことを見下している」と紹介されています。アニメ版の声優は石見舞菜香さん、狐月瑶太役は逢坂良太さんです。

原作小説と漫画版では長く下の名前だけで呼ばれていましたが、アニメ版や実写版では姉と同じ「東雲」という名字が示されています。

花梨の基本的なプロフィールをまとめると、次のとおりです。

項目 内容
名前 東雲花梨
読み方 しののめ かりん
立場 柚子の妹、狐月瑶太の花嫁
学年 物語開始時点で高校2年生
誕生日 1月21日
好きな食べ物 チーズケーキ
アニメ版声優 石見舞菜香
実写版キャスト 片岡凛
朗読劇版キャスト 千本木彩花、影山灯

花梨はピンクブラウン系のショートボブに、頭から爪先まで隙なく整えた華やかな美少女として描かれます。

甘え上手で社交的。高い学力を持ち、運動もできる文武両道の生徒です。進学先のかくりよ学園では、男女を問わず花梨に憧れる生徒が多く、周囲からは「花嫁に選ばれるにふさわしい特別な存在」と評価されていました。

つまり、外から見れば非の打ち所がありません。

美人で成績優秀、社交性もあり、将来有望な妖狐の花嫁。ここまで条件がそろうと、本人が少しくらい自信を持つのも不思議ではないでしょう。

問題は、その自信を止める人が誰もいなかったことでした。

花梨が「特別な存在」になったきっかけ

花梨は、かくりよ学園初等部へ入学して間もない頃、同学年の狐月瑶太から花嫁に選ばれます。

狐月家は、鬼に次ぐ地位を持つ妖狐一族の中でも有力な家柄です。幼い花梨がその家の跡継ぎに選ばれたことで、東雲家の生活や周囲からの扱いは大きく変わりました。

両親は花梨を何かにつけて持ち上げます。

花梨は花嫁だから特別。

花梨の願いをかなえるのは当然。

花梨を優先すれば、家族全員が豊かに暮らせる。

そんな価値観が家庭の中心になり、姉の柚子は反対に冷遇されていきました。

幼い花梨に「あやかしの花嫁」という制度の責任まで理解しろというのは無理があります。本来なら大人が、特別な立場には義務や節度も伴うと教えなければなりません。

けれど、東雲家の両親が教えたのは「あなたは選ばれたから、何をしても許される」という都合のよい部分だけでした。

これは花梨の性格を考えるうえで、かなり重要です。

彼女は最初から怪物のような心を持っていたわけではありません。褒めることと甘やかすことを混同した大人たちによって、他人の痛みを想像する機会を奪われてしまったのです。

もちろん、それで花梨の行動が許されるわけではありません。

ただ、なぜここまで傲慢になったのかをたどると、その根には本人だけではなく、家族全体の歪みが見えてきます。

花梨と柚子はどんな姉妹関係だった?

花梨と柚子は姉妹ですが、対等な関係ではありません。

両親が花梨を偏愛し、柚子を軽く扱ったことで、家庭内には明確な上下関係が生まれていました。

花梨にとって柚子は、尊重すべき姉ではなく、自分の要求を聞いて当然の相手です。

食事の支度や身の回りのことを押しつけ、気に入らないことがあれば責める。柚子の誕生日を祝うどころか、祖父母から贈られた大切なワンピースまで欲しがりました。

漫画版では、柚子が作った夕食のステーキが硬いという理由で、買い直して作り直すよう命じる場面もあります。

しかも両親だけでなく、瑶太まで花梨の味方をして柚子を責めました。

家庭の全員が一人の少女を責め、誰も疑問を持たない。人数だけで正しさが決まるなら、柚子は永遠に悪者にされていたでしょう。

読んでいる側としては胃がきゅっとなる場面です。しずくは何度読んでも、誰か一人くらい止めてください、とページの外から言いたくなります。

花梨はなぜ柚子を見下していたのか

花梨が柚子を見下していた理由は、両親から植えつけられた価値観にあります。

花梨は妖狐の花嫁に選ばれた特別な娘。

一方の柚子は、あやかしから選ばれていない平凡な娘。

東雲家では、この違いが人間としての価値の差であるかのように扱われていました。

両親は花梨を褒めるとき、ただ長所を認めるのではなく、柚子と比較して貶めます。

この褒め方は、褒められた子どもの心も傷つけます。自信の土台が「自分には価値がある」ではなく、「姉より上だから価値がある」になってしまうからです。

そのため花梨は、柚子が自分より下にいる状態に強く依存していました。

柚子が不幸で、愛されず、花嫁にも選ばれない。それによって初めて、花梨は自分が特別だと確認できたのです。

この関係が崩れた瞬間、花梨の中で抑えきれない恐怖と嫉妬が噴き出します。

柚子が鬼龍院玲夜の花嫁になり立場が逆転

姉妹の関係を決定的に変えたのが、柚子と鬼龍院玲夜の出会いです。

玲夜は、あやかしの頂点に立つ鬼の一族・鬼龍院家の次期当主。狐月家よりもはるかに高い地位にあります。

その玲夜が、長く家族から冷遇されてきた柚子を自らの花嫁に選びました。

花嫁の立場は、嫁ぎ先となるあやかしの地位に影響されます。

つまり、鬼龍院玲夜の花嫁となった柚子は、妖狐・狐月瑶太の花嫁である花梨よりも上位の存在になったのです。

昨日まで命令していた相手を、今度は自分が敬わなければならない。

花梨はその現実を受け入れられませんでした。

柚子が花嫁に選ばれたことを「何かの間違い」と考え、「お姉ちゃんが選ばれるはずがない」と否定し続けます。

けれど花嫁に選ばれる条件は、容姿や成績だけではありません。

その人がどれほど周囲から高く評価されているかとは無関係に、あやかしがただ一人の相手を見つける。それが『鬼の花嫁』における花嫁の本質です。

花梨は、花嫁という立場を愛の証しではなく、優劣を示す勲章として受け取っていました。

だからこそ、柚子が玲夜に愛されることは、姉が幸せになるというだけでは済みません。

花梨にとっては、自分の価値を支えていた世界そのものがひっくり返る出来事だったのです。

※画像はAIによるイメージ

花梨は柚子に何をした?主な行動を時系列で解説

花梨は柚子の幸せを認められず、実家へ連れ戻そうとします。

表向きの理由は「家族みんなで以前のように暮らしたい」「鬼に利用されている姉を助けたい」というものです。

しかし、柚子や瑶太には最初から本音を見抜かれていました。

花梨が望んでいたのは、柚子を自分より下の立場へ戻すことです。

ここでは、花梨の主な行動を順番に整理します。

柚子のワンピースを奪おうとした

柚子が祖父母から誕生日プレゼントとしてもらったワンピースを、花梨は自分が着たいという理由で奪おうとします。

引っ張り合いになった結果、ワンピースは破れてしまいました。

大切な贈り物を壊された柚子は、思わず花梨の頬を叩きます。

すると花梨は、駆けつけた両親に対して、自分は貸してほしいと頼んだだけなのに柚子から叩かれたと訴えました。

その言葉を信じた瑶太は、柚子に力を使って大きな火傷を負わせます。

花梨は負傷した姉を助けようとはせず、瑶太とともにその場を離れました。

この事件が、柚子が東雲家を離れ、玲夜と出会う大きなきっかけになります。

花梨の要求が通らなかったのは、彼女にとって初めてに近い経験だったのでしょう。

だからこそ、壊してしまったことを謝るのではなく、自分を拒んだ柚子のほうが悪いという思考に向かいました。

幼さは、ときに残酷です。

しかし花梨の場合、その幼さを両親も瑶太も肯定し続けたため、誰かを傷つけても立ち止まれないところまで進んでしまいました。

柚子と玲夜を引き離そうとした

柚子が玲夜の花嫁となったあと、花梨は姉を実家へ連れ戻そうと画策します。

漫画版では瑶太に協力を求め、柚子と玲夜を引き離すよう頼む場面が描かれました。

ところが、その計画は最初から無理があります。

鬼龍院家はあやかしの頂点に立つ家柄です。格下の狐月家が力ずくでその花嫁を連れ去れば、鬼と妖狐の一族間の争いに発展しかねません。

それでも瑶太は、花梨の望みをかなえるために協力しました。

原作では、瑶太が狐月家の者たちから霊力を集め、鬼の目を欺く術に利用したことも問題になります。妖狐一族の当主である狐雪撫子は、柚子の扱いを知りながら手引きした瑶太を厳しく問いただしました。

花梨の願いを拒めなかった瑶太もまた、この事件の加害者です。

ただし、計画の動機にあったのは花梨への愛情でした。彼女を幸せにしたいという気持ちが、何をしてもよいという盲目的な肯定に変わってしまいます。

愛しているから止められない。

その関係は一見ロマンチックに見えて、実際には二人を破滅へ近づけました。

狐月家で監視されても反省しなかった

柚子を連れ戻そうとした行動は、玲夜だけでなく狐雪撫子の怒りも買います。

花梨は狐月家で暮らし、使用人たちの監視を受けることになりました。

さらに、次に柚子へ接触すれば花嫁の地位を剥奪し、瑶太との接触も永久に禁じると警告されます。

これは、花梨に与えられた最後の機会でした。

ところが彼女は、なぜ自分が責められているのかを理解できません。

漫画版では、外出を止める使用人に腹を立て、自由に過ごせた実家へ帰りたいと訴えます。

花嫁は嫁ぎ先で大切にされるはずなのに、狐月家の人々は自分を責めるような目で見る。花梨はその状況を、反省するきっかけではなく「大切にされていない証拠」と受け取りました。

ここに、花梨の抱える根深い問題があります。

彼女にとって愛情とは、望みをすべてかなえてもらうことでした。

注意されることも、行動を止められることも、責任を求められることも、愛情の一部だとは知らなかったのです。

瑶太が初めて要求を拒否したときも、花梨は自分を守ろうとしているとは考えません。

みんなが急におかしくなった。

そう感じてしまいます。

本人の中では、世界のほうが突然変わったのです。実際には、これまで歪んでいた世界がようやく正常な方向へ動き始めただけでした。

宴会で柚子を待ち伏せし、危害を加えた

決定的な事件が起きたのは、あやかしの宴会最終日です。

花梨は女子トイレで柚子を待ち伏せし、実家へ戻るよう迫ります。

柚子は花梨の本心を見抜き、姉妹としての関係を終わらせる意思を伝えました。

花梨は、柚子には両親から愛されない子どもとして自分の機嫌をうかがう価値しかないと罵ります。

以前の柚子なら、その言葉に深く傷ついていたでしょう。

しかし玲夜や友人たちから愛され、自分自身の価値を知った柚子は、もう実家の評価に縛られていません。

柚子は、今が一番幸せだという意思を穏やかに示します。

それは花梨にとって、最も認めたくない答えでした。

自分がいなくても、姉は幸せになれる。

それどころか、自分たちと暮らしていた頃よりも晴れやかな表情をしている。

花梨は怒りに任せ、立ち去ろうとした柚子へ危害を加えます。原作では階段から突き落とそうとし、漫画版では髪を引っ張り、顔を引っかくなど、より激しい暴走が描かれました。

柚子は玲夜によって救われます。

しかも、その場には玲夜や瑶太だけでなく、鬼龍院家と妖狐一族の当主たちもいました。

撫子は、警告を破って再び柚子を傷つけた花梨を一族へ迎えることはできないと判断します。原作でも、花梨の行動を目撃した撫子が最後通告を下す流れが描かれています。

花梨は花嫁の地位を剥奪され、瑶太との婚約も解消。両親とともに遠い土地へ追放されることになりました。

花梨と瑶太の関係は本物の愛だった?

花梨は柚子を傷つける悪役ですが、婚約者である瑶太への思いまで偽物だったわけではありません。

派手な外見とわがままな態度に反して、花梨は瑶太を一途に愛しています。

物語序盤で柚子の元交際相手が花梨に心を奪われますが、花梨が相手を誘惑したわけではありません。

花梨の関心は、初めから瑶太に向いていました。

一方の瑶太も、花梨の望みなら何でもかなえようとします。

問題は、二人の愛情に「相手を止める」という役割が欠けていたことです。

花梨は瑶太に願いをかなえてもらうことで愛を確認し、瑶太は願いを拒まないことで愛を示す。

その関係が続くほど、花梨の要求は大きくなり、瑶太は一族や社会の決まりまで無視するようになります。

好きな人の望みをかなえたいという感情自体は、悪いものではありません。

けれど本当に相手を守りたいなら、ときには嫌われる覚悟で止めなければならない場面があります。

瑶太がそれを理解したときには、あまりにも多くのものが壊れていました。

漫画18話で描かれた花梨と瑶太の別れ

原作では、婚約解消を告げられた瑶太が花梨を強く抱きしめ、離れたくないと泣く場面で二人の別れが描かれます。

漫画版第18話では、原作で詳しく描かれなかった別れの場面が追加されました。公式のコミック紹介でも、第18話は花梨が制裁によって瑶太と引き離されるエピソードとして案内されています。

瑶太は、姉に近づかないよう何度も言ったはずだと花梨を責めます。

同時に、自分も止められなかったことを悔やみ、泣き崩れました。

それでも花梨は、最初から自分の責任を認められません。

柚子がおかしなことをした。

柚子のせいで全部壊れた。

そう責任を押しつけます。

しかし、瑶太から「もう一緒にはいられない」と告げられ、背中を向けられたことで、花梨はようやく事態の重さを理解し始めます。

遠ざかっていく瑶太へ呼びかけながら、彼女の記憶には二人が出会った頃や、狐月家で瑶太から注意された場面が浮かびます。

自分には何度も立ち止まる機会があった。

けれど、そのたびに怒り、拒み、他人のせいにしてきた。

その事実に気づいたとき、隣にはもう瑶太がいませんでした。

この場面で胸に残るのは、単純な因果応報の爽快感ではありません。

花梨が初めて、自分の言葉が届かない経験をする痛みです。

これまでは泣けば両親が味方をし、怒れば瑶太が願いをかなえました。

ところが最後の呼びかけには、誰も振り返りません。

それは罰であると同時に、花梨が自分以外の人間にも意思があると知る最初の瞬間だったのかもしれません。

※画像はAIによるイメージ

花梨のその後は?追放から復縁までを解説

花梨は花嫁の地位を失ったあと、資金援助を打ち切られた両親のもとへ戻され、遠方へ追放されます。

親族からも距離を置かれ、以前の裕福な生活を続けることはできなくなりました。

漫画第4巻の特装版書き下ろし小説では、花梨がかくりよ学園を退学したことも明かされています。

両親は、それまで花梨のおかげで豊かな生活をしていたにもかかわらず、状況が悪くなると彼女を責め始めました。

花梨が柚子へ謝れば問題は解決した。

狐月家の援助を失ったのは花梨のせい。

そうして、かつて何でも願いをかなえてくれた両親からも見放されていきます。

これは非常に皮肉な展開です。

両親が愛していたのは、花梨本人だったのでしょうか。

それとも、妖狐の花嫁である花梨がもたらす恩恵だったのでしょうか。

花梨が価値を失った途端に態度を変えたことを考えると、その愛情にはかなり危うい条件がついていたように見えます。

花梨は両親と別れ、自分の人生を歩き始める

原作第5巻では、柚子が引っ越し先の両親と再会します。

しかし、そこに花梨はいません。

両親は花梨の居場所を知らないと話し、娘を突き放すような態度を見せました。

その後、玲夜から花梨について重要な事実が伝えられます。

花梨は瑶太の庇護を失ったことで、ようやく家庭の歪みに気づき、自ら家を出たこと。

別の場所で無事に暮らしていること。

柚子が会いたいと望めば、会わせられる状態にあること。

そして、玲夜が対面を認められるほど内面が成長していることです。

柚子は花梨と会わない道を選びました。

この選択は冷たいものではありません。

相手が変わったとしても、傷つけられた側が関係を修復する義務はないからです。

花梨の更生と、柚子が再び妹を受け入れるかどうかは別の問題です。

物語がここを曖昧にせず、柚子に会わない自由を与えた点を、私は大切に感じます。

許すことと、元の関係へ戻ることは同じではありません。

相手の成長を認めながら、自分の安全のために距離を置く。その選択もまた、十分に誠実なのです。

5年後、花梨は再び瑶太の花嫁になる

原作『鬼の花嫁 新婚編3~消えたあやかしの本能~』では、事件から約5年後の花梨と瑶太が描かれます。

瑶太は長い間、花梨と直接会うことなく、離れた場所から彼女の様子を見守っていました。

撫子が定めた接触禁止の命令を破らないよう、ただ物陰から姿を確かめるだけです。

花梨もまた、5年間瑶太を思い続けていました。

以前のように立場を利用して願いを押し通すのではなく、自分の生活を立て直しながら、会えない時間を受け入れます。

その姿は妖狐一族の人々の心を動かし、二人を復縁させてほしいと撫子へ願い出る者まで現れました。

そして花梨は、撫子と柚子の赦しを得て、再び瑶太の花嫁として迎えられます。

スターツ出版のシリーズ案内でも、花梨の幼少期から現在までを扱う「花梨と瑶太」という短編が収録されていることが紹介されています。

ここで重要なのは、花梨が以前と同じ立場へ簡単に戻ったわけではないことです。

地位を失い、家族から離れ、瑶太とも会えない時間を過ごし、自分の行動を見直した。

その長い過程を経たうえで、ようやくもう一度選ばれています。

瑶太も、ただ花嫁への本能に従っただけではありません。

会いたい気持ちを抱えながら、当主の命令を守り、花梨の生活を乱さない距離にとどまりました。

二人は離れたことで、初めて相手の願いを何でもかなえることとは違う愛し方を覚えたのではないでしょうか。

花梨はただの悪役ではない?人物像を考察

ここからは、原作や漫画版の描写を踏まえた私の考察です。

花梨は物語の前半で、柚子を苦しめる明確な悪役として登場します。

姉を使用人のように扱い、傷ついても罪悪感を持たず、玲夜との関係を壊そうとする。警告されたあとも敵意を捨てられず、最後には直接危害を加えました。

どれも擁護できる行動ではありません。

それでも花梨という人物が印象に残るのは、彼女の悪意が生まれつきの残酷さだけでは説明できないからです。

花梨は「愛されすぎた」のではなく「正しく愛されなかった」

花梨は両親と瑶太から溺愛されて育ちました。

一見すると、愛情に恵まれた子どもです。

けれど、彼女が受け取ったのは、相手の成長を願う愛ではありませんでした。

泣けば要求を通す。

間違っても叱らない。

姉を傷つけても、花梨の言葉だけを信じる。

そんな対応を続けることは、子どもを大切にすることとは違います。

花梨は愛されすぎて壊れたのではなく、愛という名前の無責任な肯定に囲まれていました。

本当に必要だったのは、あなたは大切だと伝えながら、それでもしてはいけないことはあると教えてくれる大人です。

ところが両親は、花梨の行動を正すどころか、柚子を貶すことで優越感を与えました。

瑶太も、彼女を失いたくない一心で要求に従い続けます。

その結果、花梨は拒否される経験も、謝る経験も、誰かの立場を想像する経験も持てないまま成長しました。

花嫁の地位を失ったことは過酷な罰でしたが、同時に初めて自分の行動と結果が結びついた瞬間でもあります。

花梨が柚子に執着した本当の理由

花梨は、柚子を嫌いながらも執拗に実家へ戻そうとしました。

本当に姉が不要なら、そのまま玲夜のもとで暮らすことを放っておけばよかったはずです。

それができなかったのは、柚子が花梨の自己評価を支える存在だったからだと考えられます。

花梨は、自分一人の長所だけで「私は価値がある」と思えていたわけではありません。

柚子より美しい。

柚子より愛されている。

柚子より特別。

常に姉との比較が必要でした。

その柚子が、自分より格上の鬼から選ばれ、家族から離れた場所で幸せになる。

花梨にとっては、比較の土台そのものを失う出来事です。

だから「家族でまた一緒に暮らしたい」という言葉の奥には、柚子を自分の支配下へ戻したいという欲望がありました。

同時に、もっと深いところでは、姉に置いていかれることへの恐怖もあったのかもしれません。

柚子が幸せになるほど、自分たちがしてきたことの異常さが証明されてしまう。

花梨はそれを認めるより、柚子の幸せを間違いだと否定するほうを選びました。

柚子と花梨は別々の方法で両親から離れた

柚子と花梨は対照的な姉妹ですが、共通点もあります。

二人とも、東雲家の歪んだ価値観に人生を左右されてきました。

柚子は愛されるために我慢し、いい子であろうとします。

花梨は愛され続けるために、特別な子であろうとしました。

柚子は自分を小さくすることで家庭に適応し、花梨は他人を小さく扱うことで家庭の中心に居続けたのです。

向かった方向は正反対ですが、どちらも両親の愛情に依存していた点では似ています。

やがて柚子は玲夜や友人たちと出会い、両親から認められなくても自分には価値があると知りました。

花梨はすべてを失ったあと、両親の愛が無条件ではなかったと知ります。

姉は新しい人間関係の中で家を出て、妹は孤独の中で家を出た。

方法も時間も違いますが、最終的に二人とも「東雲家の娘」という役割から離れ、自分の人生を選びました。

この姉妹が再会しなかったことにも意味があります。

和解して抱き合えば、物語としては分かりやすく美しく見えたかもしれません。

しかし現実の傷は、相手が反省しただけで消えるものではありません。

柚子が会わない選択をし、花梨がその選択を受け入れたとすれば、それ自体が二人の成長を示しているように感じます。

まとめ|『鬼の花嫁』花梨は失敗から変わった人物

『鬼の花嫁』の花梨は、柚子の妹であり、妖狐・狐月瑶太の花嫁です。

幼い頃から両親と瑶太に溺愛され、周囲から特別扱いされたことで、願いは何でもかなうものだと思い込んで育ちました。

柚子を見下し、使用人のように扱っていた花梨は、姉が鬼龍院玲夜の花嫁に選ばれると立場の逆転を受け入れられません。

柚子を実家へ連れ戻そうとし、玲夜との関係を壊そうと画策。最後には警告を破って柚子に危害を加えたため、花嫁の地位を剥奪され、瑶太とも引き離されました。

しかし、花梨の物語はそこで終わりません。

両親のもとを離れ、自分が育った家庭の歪みに気づき、約5年をかけて内面を変えていきます。

瑶太も花梨と直接会わず、決まりを守りながら彼女を見守り続けました。

二人は過去をなかったことにするのではなく、離れて過ごした時間を経て、再び向き合う機会を得ます。

花梨は、最初から好感を持てる人物ではありません。

柚子への行動を知れば、怒りを覚える読者も多いでしょう。私も、そこは薄めて語りたくありません。

それでも彼女が最後まで「嫌われるためだけの悪役」で終わらなかったことに、『鬼の花嫁』らしい人間へのまなざしを感じます。

傷つけた事実は消えない。

だからこそ、変わったから許されるのではなく、変わったあとも自分の行動を背負いながら生きていく必要がある。

花梨と瑶太が再び結ばれた場面は、以前の二人に戻った結末ではありません。

何でも願いをかなえる愛から、ときには距離を置き、相手の人生を尊重する愛へ。

一度離れた二人だからこそ、今度は同じ失敗を繰り返さない関係を築いていけるのではないでしょうか。

よくある質問

『鬼の花嫁』の花梨は誰の花嫁ですか?

花梨は、妖狐の一族に属する狐月瑶太の花嫁です。

小学生の頃に瑶太から選ばれ、両親や周囲から特別扱いを受けて育ちました。

花梨はなぜ柚子を嫌っているのですか?

花梨は両親から、花嫁である自分は柚子より特別だと教えられて育ちました。

そのため、柚子が格上の鬼・鬼龍院玲夜の花嫁となったことを受け入れられず、自分の価値を奪われたように感じて嫉妬を強めます。

花梨と瑶太は最終的に復縁しますか?

原作『鬼の花嫁 新婚編3~消えたあやかしの本能~』では、事件から約5年後、成長した花梨が撫子と柚子の赦しを得て、再び瑶太の花嫁になります。

二人は離れている間も互いを思い続け、以前とは違う関係を築く機会を与えられました。

執筆:月白しずく

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