『ホタルの嫁入り』79話は、死んだと思われていた紗都子が実は生きており、長い年月を生き抜いた進平と再会する最終話です。驚きの生存だけでなく、進平が背負った時間、紗都子が待ち続けた理由まで読むと、このラストは二人の「生きる」という約束を完成させた結末に見えてきます。
ただ、読み終えた瞬間に「よかった!」だけでは終われませんでした。なぜ何十年も知らせなかったのか、進平はなぜ戻らなかったのか、康太郎は何を知っていたのか――ハッピーエンドなのに、考えることが多すぎます。最終回なのに考察班が解散できません。
※この記事は『ホタルの嫁入り』第79話「光が舞う島で」の結末まで触れる重大なネタバレを含みます。
- 『ホタルの嫁入り』79話ネタバレ|最終話「光が舞う島で」で何が起きた?
- 79話最大のどんでん返し|紗都子はなぜ生きていた?
- なぜ紗都子が生きていることを進平に知らせなかった?
- 康太郎が最後まで手紙を預かっていた意味は?
- 『ホタルの嫁入り』79話ラストの意味は?「愛が重い」が二人の原点へ戻す
- 79話はハッピーエンド?進平は「許された」のではなく「救われた」
- 紗都子の50年は「待っていただけ」ではない
- 次回への伏線はある?79話は最終回なので「80話」には続かない
- 79話の結末に賛否が出る理由|「数十年の空白」をどう受け止めるか
- 私の考察|『ホタルの嫁入り』は「死ぬまで愛する」から「生きながら愛する」物語になった
- 『ホタルの嫁入り』は79話で完結|その後はアニメでも物語が始まる
- まとめ|『ホタルの嫁入り』79話ラストは二人が「生き抜いた」からこその再会
- よくある質問
『ホタルの嫁入り』79話ネタバレ|最終話「光が舞う島で」で何が起きた?
『ホタルの嫁入り』第79話は「光が舞う島で」と題された本編最終話です。マンガワンでは第79話が最終話として掲載されています。マンガワン
ここまでの物語で最大の焦点となっていたのは、進平に刺されたあと、命の危機に瀕した紗都子がどうなるのか。そして、紗都子を失ったと思い込んだ進平が、その後どんな人生を送るのかでした。
79話は、その二つにかなり意外な形で答えを出します。
結論から言えば、紗都子は死んでいませんでした。
光春が海外から連れてきた医師による治療を受け、一命を取り留めていたのです。
しかし進平は、その事実を知らないまま紗都子を失ったと思い込み、彼女への想いを抱えた人生を歩いていきます。
ここが79話のいちばん残酷で、同時にいちばん重要なところでした。
紗都子を失ったと思った進平は旅を続ける
物語は、紗都子と別れたあとの進平を描きます。
進平は以前のように誰かと新しい人生を作ろうとはせず、紗都子を心の中に残したまま旅を続けていました。
その途中で彼の人生に入ってくるのが、弥太郎です。
山賊によって家族を失った少年で、進平に弟子入りを願います。
進平と弥太郎の関係は、最終回だけを読むと一つの旅のエピソードにも見えます。しかし物語全体から振り返ると、かなり意味深い配置です。
かつての進平自身も、人を傷つけ、人を殺すことで生きてきました。
そんな男のそばに、暴力によって家族を奪われた少年が現れる。
進平にとって弥太郎は、守るべき存在であると同時に、自分が過去に奪ってきたものを否応なく思い出させる存在だったのではないでしょうか。
これは単なる「進平のその後」ではありません。
紗都子と出会って変わった進平が、今度は別の誰かの人生とどう関わるのか。その変化を見せるための人物が弥太郎だったように私は感じます。
ほかの女性から想いを寄せられても進平の心は変わらない
旅の途中では、弥太郎と縁のある弓姉という女性から進平が好意を寄せられる場面もあります。
しかし進平は、自分には大切な人がいるという意思を示し、その誘いを受け入れません。
ここは、かなり進平らしい。
そもそも彼は、器用に人生を切り替えられる人物ではありません。
一度「この人」と決めたら、その感情が生活の全部に入り込んでしまう。
序盤では、その強烈さが怖さとして描かれました。
けれど最終回では同じ性質が、紗都子がいなくなったあとも彼女だけを想い続ける一途さとして描かれているんですよね。
進平の「愛が重い」は治ったわけではない。
方向が変わったのだと思います。
相手を手に入れなければ気が済まなかった愛から、相手がいなくても、その人が残してくれたものを抱えて生きる愛へ。
同じ進平なのに、物語の最初と最後では「重さ」の意味がまるで違って見えます。
79話最大のどんでん返し|紗都子はなぜ生きていた?
年月が流れ、年老いた進平は天女島が解体されるという話を耳にし、かつて紗都子と過ごした島へ戻ります。
ここで第79話は、それまで進平と一緒に抱えてきた喪失感を一気にひっくり返します。
島で進平を待っていたのは康太郎でした。
そして康太郎は、紗都子から預かっていた手紙を進平に渡します。
進平はその手紙を読む。
そこには、紗都子が進平へ抱いていた思いと、自分が幸せだったこと、そして二人がかつて一緒に暮らした家で待っていることが記されていました。
……待っている?
ここで読者の頭にも、進平とほぼ同時に疑問符が浮かびます。
私もこの展開を追っている間、静かに読もうとしていたはずなのに心の中だけは完全に「待って、どういうこと?」でした。
そして進平が向かった先にいたのが、年老いた紗都子です。
光春が連れてきた医師によって紗都子は一命を取り留めた
紗都子が生きていた理由は、光春の行動にありました。
光春が海外から医師を連れてきたことで、危険な状態だった紗都子は一命を取り留めていたのです。
つまり前話までの描写は、紗都子の死そのものを確定させていたわけではありません。
読者にも進平にも「助からなかった」と思わせる構成になっていた。
小学館によるコミックス12巻の紹介でも、進平の刃が紗都子を貫き、彼女の命がどうなるのかが最終章の大きな焦点として示されています。12巻は2026年6月19日発売、200ページ、定価792円(税込)です。小学館コミック
76話、77話、78話と追ってきた側からすると、これはかなり大胆などんでん返しでした。
ただし、「実は助かっていました」で終わらないところが『ホタルの嫁入り』らしい。
もっと大きな問題が残ります。
では、なぜ進平に知らせなかったのでしょうか。
なぜ紗都子が生きていることを進平に知らせなかった?
79話を読んだあと、かなり多くの読者が引っかかるのがここだと思います。
紗都子が助かったのなら、なぜ康太郎や光春は進平へ知らせなかったのか。
なぜ紗都子自身も探さなかったのか。
普通に考えれば「生きています」と一言伝えられれば、二人はもっと早く再会できたはずです。
だから、この部分を単に「連絡できなかった」で片づけると、最終回へのモヤモヤは残ります。
私はここを、連絡手段の問題というより、進平と紗都子が相手の人生へ踏み込まないことを選んだ結果として読みました。
進平は「紗都子を失った」と思ったまま生きていた
進平の立場から考えてみます。
彼が知っているのは、自分の刃によって紗都子が瀕死になったこと。
そして、その後の彼女の生存を確認できていないことです。
進平にとっては、
- 自分が紗都子を傷つけた
- 彼女を死なせたかもしれない
- もう会う資格がない
- それでも忘れることはできない
という状態だったと考えられます。
だから「なぜ手紙を書かなかったの?」という疑問に対して、私は「書かなかった」より書けなかったのではないかと思っています。
生きていると信じたい。
でも、自分にそんな希望を持つ資格があるのか。
進平はずっと、その境界線を歩いていたのではないでしょうか。
序盤の彼なら、相手の事情などお構いなしに探し回ったかもしれません。
ところが紗都子を愛することを知ったあとの進平は、紗都子の人生を自分の愛だけで縛ることができなくなった。
これは彼にとって、かなり大きな変化です。
紗都子も進平を追いかけなかった
では、生きていた紗都子はなぜ進平を探さなかったのでしょう。
ここは作中ですべてが説明されているわけではないため、断定はできません。
ただ、紗都子が康太郎に手紙を預け、進平がいつか戻る可能性を残していたことは重要です。
紗都子は進平を忘れて別の人生を選んだのではない。
追わずに待った。
この違いは大きいと思います。
進平を捕まえて連れ戻すのではなく、彼自身の意志で帰ってきたときに受け入れる。
言葉にすると静かな選択ですが、何十年という時間を考えると、とんでもなく強い。
「いつ来るか分からない人を待つ」ことは、ただ受け身でいることとは違います。
来ないかもしれない現実を引き受けながら、それでも自分の人生を生きる必要があるからです。
紗都子は余命を意識し続けてきた人物です。
そんな彼女だからこそ、一日一日を「進平がいないから空白」とは考えなかったのではないでしょうか。
生きられる今日を生きる。
そのうえで、進平が戻ってきたなら迎える。
私はこの最終回を読んで、紗都子の愛がもっとも変化したのはここかもしれないと感じました。
康太郎が最後まで手紙を預かっていた意味は?
康太郎も第79話の重要人物です。
彼は単なる「手紙を渡すための係」ではありません。
長いあいだ紗都子を見てきた人物であり、進平が紗都子にとって何者なのかを知っている存在です。
だからこそ最後に二人を直接結び直す役割を与えられたことには意味があります。
進平が天女島へ帰ってくるまで、康太郎は手紙を渡さない。
そして進平が自分自身の足で帰ってきたとき、初めて紗都子の言葉を渡す。
この順番が大切です。
もし誰かが進平を探し出し、強制的に紗都子のもとへ連れてきたのなら、この再会はまったく違うものになっていました。
最終回で必要だったのは「二人を会わせること」だけではありません。
進平自身が天女島へ戻ることだったのです。
天女島へ戻ったこと自体が進平の答えだった
進平にとって天女島は、単なる思い出の土地ではありません。
紗都子と出会い、一緒に逃げ、生き延びようとし、恋を知った場所です。
そこには幸福だけでなく、血も、恐怖も、迷いも残っています。
だから、年老いた進平が天女島へ戻るという行動自体が、私は一つの決着だったと思います。
忘れるためではなく、向き合うために戻った。
その時点で進平は、過去から逃げ続ける男ではなくなっています。
康太郎が待っていたのは、たぶん「何年後」という時間ではありません。
進平が戻れる人間になるまでだった。
そう読むと、あまりにも長かった空白も少し違って見えてきます。
『ホタルの嫁入り』79話ラストの意味は?「愛が重い」が二人の原点へ戻す
そして、ようやく二人は再会します。
若かったころの姿ではありません。
進平も紗都子も年齢を重ねています。
ここが私はとても好きでした。
若い二人を奇跡的に再会させるのではなく、人生の時間をきちんと身体に残した二人を会わせる。
失った年月そのものを、なかったことにしない結末なんですよね。
進平にとっては、信じられない再会です。
ずっと死んだと思っていた人が目の前にいる。
しかも幻ではなく、自分と同じように年齢を重ねている。
だからこそ、ラストの「愛が重い」というやり取りが効いてきます。
この言葉は二人の関係を象徴してきたものだからです。
「愛が重い」は本人確認以上の意味を持つ
進平にとって紗都子は、愛するという感情を教えた人でした。
一方の紗都子にとって進平は、最初は生き延びるために結婚を持ちかけた危険な殺し屋です。
そこから二人は、契約や方便では説明できない関係になっていきました。
その長い物語を知っている読者にとって、「愛が重い」はただの軽口ではありません。
二人だけが共有してきた歴史の合言葉に近い。
顔が変わっても。
声や身体が老いても。
何十年離れていても。
この言葉を交わせば、目の前にいるのが「あの人」だと分かる。
私はここで、79話のラストが単なる生存サプライズではないと感じました。
物語の最初から積み上げてきた二人の関係そのものを使って、最後の再会を成立させているんです。
「光が舞う島で」というタイトルも物語の原点へ戻っている
最終話のタイトルは「光が舞う島で」。
作品名は『ホタルの嫁入り』です。
ホタルは、この作品において単なるきれいな背景ではありません。
短い命、暗闇の中で見える光、相手を求める合図――さまざまな読み方のできるモチーフとして物語に重ねられてきました。
そして最後に、二人の物語は再び島へ帰ってくる。
私はこの構成を、一直線にゴールへ進む物語というより、大きな円を描いて原点へ戻る物語だと感じています。
出会った場所に戻った二人は、昔と同じ二人ではありません。
進平は人を愛したことで喪失を知った。
紗都子は「長く生きられない」と言われながら、予想を超えて人生を生きた。
同じ場所へ戻ってきても、積み重ねた時間が違う。
だから最後の光は、始まりの光と同じように見えて、意味が変わっています。
79話はハッピーエンド?進平は「許された」のではなく「救われた」
ここからは、公式に示された答えではなく私の考察です。
私は『ホタルの嫁入り』79話を、単純なご褒美型のハッピーエンドではなく、長い贖いの先に救いが残された結末として読みました。
とくに大事だと思うのが、「進平が許された」と「進平が救われた」は同じではないことです。
進平はこれまで、人を殺してきました。
紗都子と恋に落ちたからといって、その過去が消えるわけではありません。
大切な人を得たことで過去が帳消しになる――もしそう描いたなら、物語はかなり違う印象になったはずです。
けれど79話は、進平に長い時間を歩かせました。
大切な人を失ったと思いながら、それでも生きる。
その途中で弥太郎と出会い、誰かとの関係を作る。
それでも紗都子を忘れない。
そして老いてから、ようやく原点へ帰る。
ここに私は「罰を受ければ罪が消える」という単純な発想ではなく、過去を抱えたまま人は変わることができるのかという作品の問いを感じます。
進平が紗都子を失った苦しみは、過去の罪に対する刑罰ではありません。
だから、それを理由に過去の行為が許されるわけでもない。
それでも、人は救われてもいい。
79話はそこを分けて描いているように思えるのです。
この違いは、『ホタルの嫁入り』という少し危うい恋愛物語を最後まで成立させるうえで、かなり重要だったのではないでしょうか。
紗都子の50年は「待っていただけ」ではない
もう一つ、私が最終回で考え続けているのが紗都子側の時間です。
進平の旅は描かれるため、読者は彼がどのように年月を過ごしたのかを想像しやすい。
ところが紗都子については、大きな空白があります。
そのため「何十年もただ待っていたの?」という印象も生まれます。
でも私は、ここを少し違って読みたい。
紗都子という人物の物語は、最初からずっと「死ぬかもしれない女性が、どう生きるか」でした。
彼女の目標は当初、家に利益をもたらす結婚をして父へ恩返しすること。
自分の人生より家のため。
自分の願いより役目。
そんな価値観を持っていた紗都子が、進平との逃亡や生活を通して、自分自身の感情を選ぶようになっていきます。
だから最終回で紗都子が長生きしていたという事実は、恋愛のどんでん返し以上の意味を持ちます。
「余命わずか」と言われた少女が、老いるところまで生きた。
これ自体が、作品冒頭への最大の回答なのではないでしょうか。
紗都子にとって本当の奇跡は、「進平が戻ってきたこと」だけではない。
髪が白くなるまで生きられたこと。
何度も明日を迎えられたこと。
若い頃には想像できなかった年月を、自分自身の人生として持てたこと。
そのうえで最後に進平まで戻ってきた。
そう考えると、この結末の中心は「何十年も会えなくてかわいそう」だけではなくなります。
失われた時間は確かにある。
けれど二人には、それぞれ生きた時間もある。
この両方を認めないと、79話の独特な後味は説明しきれない気がします。
次回への伏線はある?79話は最終回なので「80話」には続かない
検索で「ホタルの嫁入り79話 次回」「79話の伏線」と調べた方には、ここをはっきり整理しておきます。
第79話は本編の最終話なので、本編第80話へ直接続く構成ではありません。
マンガワン公式でも第79話は「最終話」と明記されています。マンガワン
そのため、タイトルにある「次回への伏線」を考える場合、本編80話の予告という意味ではなく、その後に描かれる外伝・番外編や、最終回に残された空白へつながる要素として読むのが自然です。
伏線1|弥太郎と進平の旅
最も分かりやすいのが弥太郎です。
弥太郎は最終回だけの背景人物というには、進平との関係が濃い。
家族を山賊に殺され、進平を師とする少年。
この設定は、かつて暴力の世界で生きていた進平と強く重なります。
「殺す側だった進平が、次の世代へ何を渡すのか」というテーマを描くなら、弥太郎は非常に重要な存在になります。
本編では紗都子との愛が進平を変えました。
その変化が他人へどう受け渡されていったのか。
そこは本編最終回だけでは語り切れない部分です。
伏線2|紗都子が進平を待った年月
もう一つは、紗都子側の空白です。
進平が旅をしていた年月に、紗都子はどこで、誰と、どんな日々を過ごしていたのか。
康太郎はいつから彼女の手紙を預かっていたのか。
光春はその後、紗都子とどう関わったのか。
なぜ「探す」ではなく「待つ」という形になったのか。
最終回はあえてすべてを説明していません。
だからこそ、この空白は物語の欠陥とも、読者へ残された余白とも読めます。
私は後者として楽しみたいところですが、「いや、そこはもっと説明してほしかった」と感じる人がいるのもすごく分かります。
ハッピーエンドなのに議題が多い。最終回なのに会議が終わりません。
伏線3|康太郎が知っていたこと
康太郎の視点も気になります。
最終回の康太郎は、進平と紗都子のあいだに残された時間をつなぐ役を果たします。
しかし彼が何を知り、何を考え、どの時点で「進平はいつか戻る」と判断していたのかは、読者が想像できる余地として残されています。
康太郎はずっと紗都子を守ってきた人物です。
だから彼が進平に手紙を渡すという行為は、実質的には「もう一度、紗都子のところへ行っていい」という許可にも見えます。
若いころには決して簡単ではなかった二人の関係を、最後に康太郎がつなぐ。
ここにも時間の変化があります。
79話の結末に賛否が出る理由|「数十年の空白」をどう受け止めるか
この最終回が読者のあいだで意見を分けやすい理由は、とても分かりやすいと思います。
紗都子が生きていたなら、もっと早く二人を再会させてほしかった。
たぶん、ここです。
長い物語を追ってきた読者ほど、進平と紗都子にはできるだけ長く一緒にいてほしい。
それは当然の感情でしょう。
まして紗都子はずっと命の短さと向き合ってきた人物です。
「せっかく助かったのなら、その時間を二人で過ごしてほしかった」と思ってしまいます。
私も、その気持ちはあります。
二人の老後を何十年分ください、と言いたくなる程度にはあります。
ただ、橘オレコ先生が選んだのは、最短距離で幸せになる結末ではありませんでした。
離れた。
生きた。
年を取った。
それでも最後に同じ場所へ帰った。
この遠回りによって、進平の愛が「そばに置いておきたい執着」から「離れていても失われないもの」へ変化したことが見えてきます。
一方の紗都子も、進平がいなければ生きられない人物としては描かれない。
二人が依存し合うことだけを「永遠の愛」にしなかった。
私はそこに、この作品の最後の成長を感じました。
私の考察|『ホタルの嫁入り』は「死ぬまで愛する」から「生きながら愛する」物語になった
ここからは、最終回まで読んだ私自身の考察です。
『ホタルの嫁入り』は序盤だけを見ると、「命を懸けるほど重い愛」の物語に見えます。
余命わずかな紗都子。
殺し屋として生きてきた進平。
そもそも二人の出会いからして、死がすぐ隣にある。
だから恋も、どうしても「死ぬか、生きるか」と結びついていました。
進平なら紗都子のために死ねる。
紗都子も進平と一緒なら運命に逆らえる。
そういう極端な愛が、この作品の魅力でもあります。
ところが最終回で要求されるのは、もっと難しいことでした。
死ぬことではなく、生きること。
進平は紗都子がいないと思う世界を生き続ける。
紗都子も進平がいない時間を生き続ける。
死んで一緒になるのではない。
若い姿のまま永遠になるのでもない。
お互いがいない場所で老いるところまで生きる。
そして、その最後に再会する。
これは序盤の進平にはたぶんできなかった愛し方です。
昔の彼なら、「紗都子がいないなら生きる意味がない」と言ってしまいそうでした。
でも最終回の彼は生きています。
それは紗都子が彼に残したものが、死を選ばせる愛ではなく、明日へ行かせる愛になったからではないでしょうか。
ここに私は、79話のいちばん大きな意味を感じました。
「ホタル」は短命の象徴だけではなかったのかもしれない
作品タイトルのホタルについても、最終回を読むと印象が少し変わります。
ホタルという言葉からは、短い命や儚さを連想しやすい。
余命を告げられていた紗都子とも重なります。
しかし紗都子は、年老いるまで生きた。
つまり最終回は、「儚いから美しい」で終わっていません。
短いと思っていた命が続く。
消えたと思った光が、何十年後かにもう一度見える。
タイトルの「ホタル」は、死の予兆ではなく、暗い時間のなかでも互いを見失わないための光だった――そんな読み方もできるのではないでしょうか。
そして最終話の題名が「光が舞う島で」。
最後まで読んでから見ると、このタイトルはとてもやさしい。
「死ぬまで一緒」ではなく、「生きた先でもう一度会う」。
この作品の最後に残ったのは、私はそんな光だったように感じます。
『ホタルの嫁入り』は79話で完結|その後はアニメでも物語が始まる
原作本編は79話で完結しましたが、『ホタルの嫁入り』そのものの展開は続いています。
小学館の公式情報ではコミックス12巻が2026年6月19日に発売され、シリーズ累計400万部突破と案内されています。小学館コミック
さらにTVアニメは2026年10月から全国フジテレビ系「ノイタミナ」で放送予定。桐ヶ谷紗都子役はLynnさん、後藤進平役は内山昂輝さんです。小学館コミック+1
漫画では視線や表情、コマとコマの沈黙で感じていた二人の距離が、アニメになると声、間、音楽、呼吸へ変換されます。
とくに進平は、「怖い」と「かわいい」と「何をするか分からない」が数コマの中で平然と同居する人物。
内山昂輝さんの声で、この危うい振り幅がどう表現されるのか。
そしてLynnさん演じる紗都子の芯の強さが、進平の圧倒的な熱量をどう受け止めるのか。
原作最終回を知ったあとで序盤を見直すと、何気ない「生きる」という言葉まで重く聞こえてきそうです。
物語は終わったのに、今度は映像で最初から感情をやり直すことになる。
しずく、情緒の予定表を空けておく必要がありそうです。
まとめ|『ホタルの嫁入り』79話ラストは二人が「生き抜いた」からこその再会
『ホタルの嫁入り』79話「光が舞う島で」では、紗都子を失ったと思った進平が長い年月を旅したのち、天女島へ戻ります。
そこで康太郎から紗都子の手紙を受け取った進平は、かつて二人が暮らした家へ向かい、光春が連れてきた医師の治療によって一命を取り留めていた紗都子と再会します。
驚きのハッピーエンドです。
ただし、失われた年月まで魔法のように消える結末ではありません。
進平が生きてきた時間。
紗都子が生きてきた時間。
康太郎が見守ってきた時間。
そのすべてを残したまま、最後にもう一度二人を同じ場所へ立たせる。
だから私は、この最終回を「失った時間を取り戻す話」ではなく、「失った時間があっても愛は終わらなかった話」として受け取りました。
そして、もう一つ。
物語の冒頭で余命わずかと言われていた紗都子が、白髪になるまで生きている。
恋の成就以上に、それが何より大きな答えだったのかもしれません。
紗都子は「結婚できた女性」として幸せになっただけではない。
生きたいと願った一人の人間として、長い人生を手に入れた。
その人生の最後のほうへ、ずっと愛していた進平が帰ってくる。
遠回りです。
遠回りどころではありません。こちらの感情が途中で何度も迷子になります。
それでも最後に二人が抱き合えたとき、「よかった」の中に、悲しさも、悔しさも、長すぎた時間も全部残っている。
私はそこが、この最終回らしいと思いました。
よくある質問
『ホタルの嫁入り』79話で紗都子は本当に生きていた?
はい。79話では、紗都子が一命を取り留めて生きていたことが明かされます。
光春が海外から医師を連れてきたことが救命につながり、紗都子はその後も長く生き、年老いた姿で進平と再会します。
そのためラストを「進平が見た幻」と解釈するより、作中の説明に沿えば現実の再会として読むのが自然です。
なぜ進平と紗都子は何十年も会わなかったの?
作中ですべての経緯が細かく説明されているわけではありません。
ただ、進平は紗都子を失ったと思ったまま旅を続け、紗都子は康太郎へ手紙を託して進平が戻る時を待っていました。
私は、進平が罪悪感から彼女の人生へ戻れず、紗都子も進平を無理に追わず、彼自身が戻ることを待った結果だと考えています。
ここは最終回でもっとも解釈が分かれやすい部分でしょう。
『ホタルの嫁入り』79話の次は80話?
いいえ。79話は本編最終話です。マンガワン公式でも「第79話(最終話)」と明記されています。マンガワン
そのため、本編80話への伏線というより、弥太郎と進平の旅や紗都子が待っていた年月など、外伝・番外編や読者の考察につながる余白が79話に残されている、と考えるのが分かりやすいでしょう。
物語の最初、紗都子は「長く生きられない人」でした。
最後、私たちが見るのは、長い時間を生き抜いた紗都子です。
そして彼女の前には、同じように長い道を歩いて帰ってきた進平がいる。
光が消えたと思った島で、最後にもう一度その光を見つける――『ホタルの嫁入り』というタイトルは、最終話まで読んで初めて完成する言葉だったのかもしれません。


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