物語を読んでいるだけのはずなのに、胸の奥がざわつく夜があります。
「敵」と言われている側を、どうしても嫌いになれない。
むしろ、正しいとされる側のほうに、言いようのない窮屈さを感じてしまう。
そんなふうに、ページの前で立ち止まった人に向けて、この記事を書いています。『とんがり帽子のアトリエ』の「つばあり」は、たしかに禁忌魔法を扱う危険な存在として描かれます。
けれど、この作品をただの「正義vs悪」の物語として読むと、いちばん大事な震えを取りこぼしてしまうのです。この作品の怖さは、悪が怖いことではありません。
“正しいはずの仕組みが、ときに誰かを息苦しくさせる”ことに、読者自身が気づいてしまうことです。

本記事には『とんがり帽子のアトリエ』のネタバレを含みます。
また、考察パートは公式情報を土台にしつつも、作中描写の読解にもとづく解釈を含みます。
断定ではなく、作品をより深く味わうための一つの視点としてお楽しみください。